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正しい嚥下・間違った嚥下、その違いと影響について
はじめに
普段の生活の中で、食べ物や飲み物を「飲み込む」という動作は、あまり意識されることがありません。けれど、実は嚥下(えんげ)と呼ばれるこの動きには、舌・唇・頬・喉など多くの筋肉が協調して働いています。多くの方が“なんとなく”行っているこの動作には、正しい形があり、反対に癖のある誤ったパターンも存在します。
とくに最近は、子どもだけでなく大人にも「間違った嚥下」が見られることがあるとされ、生活習慣や姿勢、口呼吸などが背景に関係しているケースもあると言われています。今回は、正しい嚥下の仕組みと、間違った嚥下がどのような影響を与える可能性があるのか、やさしく解説していきます。
正しい嚥下とは

正しい嚥下は、舌が上あご(口蓋)にしっかりと収まり、舌先が上の前歯の裏ではなく、少し奥の「スポット」と呼ばれる位置に触れた状態で行われます。飲み込む際には、舌全体が波を描くように後方へ動き、食べ物を喉の方へ送り込むのが自然な流れです。
このとき、唇には余分な力は入っておらず、頬の筋肉も過度に緊張しません。口まわりがリラックスした状態で、舌が主体となって動くことで、バランスの良い嚥下が行われます。
また、嚥下は成長とともに変化していくと言われています。乳児期には吸啜(きゅうてつ)と呼ばれる赤ちゃん特有の飲み込みの動きが見られますが、離乳食が進むにつれ、徐々に大人と同じ嚥下へ移行していくのが一般的です。この移行がスムーズであると、舌や唇の使い方も自然と整っていきます。
正しい嚥下ができることには、いくつかのメリットがあります。
- 歯並びの安定につながるとされる
舌が正しい位置にあることで、口腔内の力のバランスが整いやすいという考えがあります。 - 咀嚼(噛む動作)がスムーズになる
食べ物を舌でコントロールしやすくなるため、食事の流れ全体がスムーズになりやすいとされています。 - 姿勢や呼吸にも良い影響があると言われている
口呼吸より鼻呼吸がしやすい状態になるため、全身のバランスに良い作用が期待されるケースがあります。
このように、正しい嚥下は口の中だけでなく、身体全体の働きにも関係していると考えられています。
間違った嚥下(異常嚥下癖)とは
「間違った嚥下」と呼ばれるものにはいくつかのパターンがあります。代表的なのは、舌が前に出てしまうタイプです。飲み込むときに舌先が前歯に触れたり、強く押してしまったりする癖が見られる場合があります。この動きは「舌突出癖」と呼ばれることもあります。
また、唇を強く閉じることで嚥下を補おうとするタイプも知られています。本来は舌が主体となって行う動作を、唇の力で代償しようとする形です。
他にも、頬の筋肉をぎゅっと引き締めながら飲み込むなど、口まわりの筋肉が必要以上に働いてしまうケースもあります。
こうした誤った嚥下が起きる背景には、いくつかの要因があると考えられています。
- 乳児期の吸啜から大人の嚥下への移行がうまくいかなかった
- 口呼吸の習慣が続いている
- 姿勢の乱れ(猫背やうつむき姿勢)
- やわらかい食事が中心の生活
- 舌・唇・頬の筋肉のバランスが整いにくい生活習慣
あくまで「そのような傾向がある」と言われているもので、個人差が大きい領域ではありますが、こうした要因が重なることで、誤った嚥下につながると考えられます。
間違った嚥下が及ぼす可能性のある影響
間違った嚥下は、日常生活の中ではあまり気づかれないものですが、一般的に次のような影響が指摘されています。ここでは医療広告ガイドラインに配慮し、断定的な言い方は避けています。
● 歯並びへの影響が生じやすい傾向がある
嚥下のたびに舌が前歯を押す癖があると、前歯に力が加わりやすいと言われています。これにより、開咬や上顎前突などのリスクがあるとされ、特に成長期の子どもでは影響が出やすいという考えがあります。
● 咀嚼効率が低下しやすい
舌のコントロールが不十分な場合、食べ物をスムーズにまとめて喉の方へ送る動作が難しくなることがあります。結果として、噛む回数が増えたり、飲み込みづらさを感じるケースもあるとされています。
● 口腔内の筋バランスに影響
舌・頬・唇が正しく機能していない状態が続くと、筋肉の使い方に偏りが生じることがあります。これは、口元の癖や姿勢に影響する場合があるとも考えられています。
● 口呼吸との関連
間違った嚥下と口呼吸には関連があるといわれ、どちらか一方がもう一方を引き起こすケースもあるとされています。鼻呼吸より口呼吸が習慣化すると、舌の位置が下がりやすく、誤った嚥下につながる可能性もあります。
まとめ
嚥下は、一見すると単純な動きのように思えますが、実は多くの筋肉が連動して働く重要な機能です。正しい嚥下ができていると、口腔内のバランスが整いやすく、全身にも良い影響が期待できるとされています。
反対に、間違った嚥下にはさまざまな要因が関係し、習慣として続くと影響が出る可能性があると言われています。もし気になる癖がある場合には、まずは日々の生活習慣や姿勢、呼吸の状態などを観察してみることが第一歩になります。
診断や治療を目的にせず、気になる点がある場合には、適切な専門家に相談してみることで安心につながることもあります。毎日の飲み込みの癖を見直すことは、口もとや健康のための大切な習慣づくりの一つと言えるでしょう。
Q&A:間違った嚥下はどうすれば見分けがつくの?
Q:間違った嚥下はどうすれば見分けがつくの?
A:次の2つが、もっとも分かりやすいチェックポイントと言われています。
① 飲み込むときに唇に強い力が入っている
本来の嚥下は、唇をぎゅっと閉じなくても自然に行えます。
もし、飲み込むたびに
- 唇を強く結ぶ
- 上下の唇が緊張している
といった様子があれば、「唇の力で飲み込みを補っている」可能性があります。
② 舌が前歯に触れる、または押してしまう
嚥下時に舌先が前歯に触れたり、押してしまうのは、代表的な誤った嚥下のサインとされています。
とくに、
- 食事中に舌が前へ出る
- 飲み込む瞬間に舌で歯を押す
— という癖が見られる場合は、舌の位置や動きが安定していない傾向があると考えられます。
まとめ(Q&Aパート)
この2つは、日常生活の中でも比較的気づきやすいポイントです。
ただし、「これがある=必ず問題がある」という意味ではなく、あくまで一般的な傾向に基づく目安です。
もし気になる嚥下の癖がある場合には、専門家に相談することで現在の状態を把握しやすくなり、日常の習慣づくりにも役立ちます。
